第9章 国際政治の動向と課題

非同盟

非同盟

非同盟とは何か

非同盟とは、冷戦期に東西いずれの軍事同盟ブロック(NATOまたはワルシャワ条約機構)にも加わらず、独自の外交路線を歩む立場を指す。アジア・アフリカ・ラテンアメリカの新興独立国の多くが採用した外交原則として機能した。

概念の核心

非同盟は単なる中立(戦争不参加)とは異なり、冷戦の構造全体から距離を置きつつも国際問題に積極的に関与する能動的な立場である。大国の覇権争いに巻き込まれず、自国の発展と国際平和に貢献することを目標とする。

非同盟の基本姿勢は、平和共存、反植民地主義、国連中心主義、軍縮と平和、南北問題の解決を含む総合的な世界観として発展した。冷戦期の第三世界外交の中核思想となった。

非同盟はどのような仕組みで機能したか

非同盟は、非同盟諸国首脳会議を中心とする多国間外交の枠組みとして組織化された。加盟国は軍事同盟には加わらないが、政治・経済・文化面での協力を進めた。

運動の制度化

1961年のベオグラードで第1回非同盟諸国首脳会議が開催され、以後およそ3年ごとに首脳会議が開かれている。国連での共同行動や、外相会議、常設の事務局機能などを通じて、加盟国間の連絡調整が行われている。

加盟の基準として、①平和共存と民族自決に基づく独立政策、②反植民地主義と民族解放運動の支持、③大国の軍事同盟への不参加、④自国に大国の軍事基地を置かないなどが掲げられた。これらの基準は時代とともに柔軟に適用された。

非同盟はなぜ生まれたか

非同盟が生まれた背景には、第二次世界大戦後の脱植民地化と、冷戦期の二極対立への巻き込まれを警戒する新興独立国の共通の関心があった。大国の影響を排して自立的な発展を目指す必要があった。

成立の経緯

1954年の周恩来とネルーによる平和五原則、1955年のバンドン会議における平和十原則が、非同盟の理念的基盤を整えた。1961年のベオグラード会議で、25か国が参加する第1回非同盟諸国首脳会議が開催された。

主導的人物として、ユーゴスラビアのチトー、インドのネルー、エジプトのナセル、インドネシアのスカルノ、ガーナのエンクルマなどが挙げられる。彼らは冷戦の論理に縛られない新しい国際秩序を構想した。

非同盟と冷戦後の国際秩序はどう関わるか

非同盟運動は、冷戦終結後もその役割を見直しつつ存続している。現在も120か国を超える加盟国を持ち、グローバル・サウスの発言の場として機能している。

冷戦後の変容

冷戦終結により「同盟に加わらない」という姿勢の戦略的意味は薄れたが、非同盟運動は存続した。むしろ、南北問題、気候変動、国連改革、軍縮など、新たな国際課題に対する発展途上国の共同の立場を主張する場として変質した。

2000年代以降も首脳会議は継続されており、2019年にはアゼルバイジャンのバクーで第18回会議が開催された。加盟国はインド、エジプト、インドネシア、南アフリカ、キューバ、イラン、ベネズエラなど多岐にわたる。

現代の意義

中国と西側諸国の対立が深まる現代国際政治において、非同盟の伝統は再び意味を持ち始めている。新興国や途上国が米中両陣営のいずれにも完全に与しない姿勢を示す際、非同盟の歴史的経験が参照される。

非同盟は単なる過去の運動ではなく、現代の多極化した国際政治における独立した外交姿勢を象徴する概念として、引き続き国際政治論の中心にある。

監修者 taisa68
最終更新日 2026-04-23