第9章 国際政治の動向と課題

新冷戦

新冷戦

新冷戦とは何か

新冷戦は、1970年代末から1980年代前半にかけて米ソ間で再び高まった軍事的・外交的緊張を指す。デタントの終焉を画する局面であり、ソ連のアフガニスタン侵攻とレーガン政権の対ソ強硬姿勢が特徴となった。

概念の範囲

新冷戦は1979年から1985年頃までの期間を指すのが一般的で、デタントと冷戦終結の間に位置する。近年では2014年以降の米欧対ロシアや米中対立を第二の新冷戦と呼ぶ用法もあるが、本来の意味は異なる。

時代区分上の位置

新冷戦は冷戦全体の第三局面にあたり、米ソの緊張が再燃した時期として整理される。この期間の軍拡と相互不信が、ゴルバチョフ登場後の大転換の前提条件ともなった。

新冷戦はどのような要因で始まったか

新冷戦の起点は、デタント末期に起きた米ソ対立の再燃であり、ソ連の外交的行動とアメリカ国内政治の保守化が重なった結果である。複数の地域紛争と軍拡競争の再開が具体的な表れとなった。

ソ連のアフガニスタン侵攻

1979年12月、ソ連はアフガニスタンの親ソ政権を支援するため軍事介入を行った。アメリカはこれをソ連による覇権拡大と位置づけ、SALTⅡ条約の批准を見送り、1980年モスクワ五輪をボイコットした。

レーガン政権の対ソ強硬路線

1981年就任のレーガン大統領はソ連を「悪の帝国」と呼び、軍事費を大幅に増額した。戦略防衛構想(SDI、スター・ウォーズ計画)を打ち出し、宇宙からの迎撃を含む新たな軍拡を進めた。

新冷戦の特徴はどこにあるか

新冷戦の特徴は、核軍拡と地域紛争の再燃、経済制裁の活用、イデオロギー対立の再強調などにある。これらが同時並行で進み、米ソ関係はキューバ危機以来の緊張へと達した。

中距離核戦力(INF)問題

ソ連は欧州向け中距離ミサイルSS-20を配備し、NATOはパーシングⅡと巡航ミサイルの欧州配備で対抗した。欧州核戦力の均衡問題は新冷戦の最も先鋭な争点となった。

第三世界での代理対立

アフガニスタン、ニカラグア、アンゴラ、エチオピアなどで米ソの代理戦争が続いた。新冷戦は直接的な米ソ対決ではなく、第三世界の紛争を通じて展開される性格を持った。

新冷戦はどう終わったか

新冷戦は1985年のゴルバチョフ登場を契機に急速に緩和され、1987年のINF全廃条約、1989年のマルタ会談で冷戦終結へと向かった。短期間での転換は、新冷戦の軍拡競争が持続不可能となった結果でもあった。

ゴルバチョフの新思考外交

ゴルバチョフはペレストロイカとグラスノスチを進め、外交では新思考外交を掲げた。軍縮交渉の加速、東欧への不干渉、西側との対話重視が新冷戦を急速に終息させた。

冷戦終結との連続性

新冷戦の軍拡と対立が限界に達したからこそ、ゴルバチョフの転換路線が受け入れられた。新冷戦は単なる後退ではなく、冷戦そのものの終結を準備した局面として理解できる。

監修者 taisa68
最終更新日 2026-04-23