第9章 国際政治の動向と課題

ブッシュ

ブッシュ

ブッシュとは何か

ブッシュは、1989年から1993年まで第41代アメリカ合衆国大統領を務めた共和党の政治家で、冷戦の終結と湾岸戦争に対処した人物である。正式にはジョージ・H・W・ブッシュと呼ばれ、後の第43代大統領ジョージ・W・ブッシュと区別される。

経歴の概要

ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュは第二次大戦中に海軍のパイロットとして従軍し、戦後はテキサス州選出の下院議員、国連大使、CIA長官、レーガン政権の副大統領を歴任した。1988年の大統領選で民主党のデュカキスを破り当選した。

外交通の大統領

国連大使、駐中国連絡事務所長、CIA長官という経歴から「外交の大統領」と呼ばれた。国際関係のネットワークを駆使して冷戦終結後の複雑な国際政治を乗り切った。

ブッシュ政権は冷戦終結をどう処理したか

ブッシュ政権は冷戦終結期の急速な国際変動を、ソ連の面子を保ちつつ平和的に進めるという慎重な外交で対応した。「新しい世界秩序」という表現で冷戦後の構想を示した。

マルタ会談と冷戦終結宣言

1989年12月、ゴルバチョフとマルタ会談を行い、冷戦の終結を公式に宣言した。東欧革命への武力介入回避、軍縮交渉の加速、経済協力の提供など、ソ連を国際秩序に組み込む方針を示した。

ドイツ再統一への対応

1990年、東西ドイツの統一問題に対し、NATOの枠内での統一を支持し、ソ連を説得した。コール首相とともに「2プラス4」方式で近隣諸国の同意を取り付け、平和的再統一を実現した。

湾岸戦争はどのように対処されたか

1990年8月のイラクによるクウェート侵攻に対し、ブッシュ政権は国連安保理を通じて多国籍軍を組織した。冷戦後最初の大規模国際危機を多国間協調で解決した事例となった。

多国籍軍の組織

アメリカを中心に34カ国が参加する多国籍軍が編成され、1991年1月に湾岸戦争(砂漠の嵐作戦)が開始された。短期間でクウェートが解放され、国連憲章に基づく集団安全保障の成功例とされた。

新しい世界秩序

湾岸戦争後、ブッシュは「新しい世界秩序」を掲げ、国連主導の集団安全保障と米国のリーダーシップを組み合わせる構想を示した。これが冷戦後の国際秩序構想の原型となった。

ブッシュ政権の評価はどうなっているか

ブッシュは冷戦終結と湾岸戦争で外交的成功を収めたが、国内経済の停滞と「読唇術を読め、新たな税はない」公約の撤回で1992年大統領選に敗れた。再選失敗にもかかわらず、外交的業績は高く評価されている。

STARTⅠとの軍縮

1991年7月、ゴルバチョフとSTARTⅠ条約に調印し、戦略核兵器の削減を義務づけた。冷戦終結期の軍縮を条約として確定させた点は重要な業績である。

息子との関係

長男ジョージ・W・ブッシュは2001年から2009年まで第43代大統領を務めた。父子大統領の系譜を持つアメリカ史上数少ない家系であり、外交手法の違いが議論の対象となった。

監修者 taisa68
最終更新日 2026-04-23