第9章 国際政治の動向と課題

ISIS

ISIS

ISISとは何か

ISIS(アイシス)は、イラク・シリア・イスラム国の英語名Islamic State of Iraq and Syriaの頭文字を取った呼称である。同組織はIS、ISIL、ダーイシュなど複数の名称で呼ばれ、冷戦終結後の中東情勢を揺るがした過激派組織を指す。

名称の由来と用法

ISISは当初イラクとレバント地方をさすISILとも呼ばれたが、日本語報道では「イスラム国」や「イスラム国を自称する組織」と併記される。イスラム教全体への誤解を避けるため、ダーイシュの呼称が公式に使われる場合もある。

組織の性格

ISISは単なるテロ組織ではなく、一定領域を支配して独自の統治機構を設置する、擬似国家的な組織として知られた。イスラム国家の再興を掲げ、カリフ制の復活を自称した点に特徴がある。

ISISはどのように勃興したのか

ISISの起源は、イラク戦争後のスンニ派武装抵抗運動とシリア内戦にあり、両者の混乱が合流して急速に拡大した。

イラク戦争後の状況

2003年のイラク戦争でフセイン政権が崩壊した後、スンニ派住民の疎外感を背景にアル=カーイダ系の武装組織が台頭した。この流れの中で生まれたのがISISの前身組織であり、イラク各地の治安空白を利用して勢力を築いた。

シリア内戦への参入

2011年以降のシリア内戦でISISはアサド政権に反旗を翻す武装組織として勢力を伸ばし、2014年6月にはイラク北部の都市モスルを制圧し、カリフ制国家樹立を宣言した。最盛期の支配地域は日本の本州に匹敵する広さに達した。

ISISは国際社会にどのような影響を与えたか

ISISは中東を超えた国際安全保障の脅威となり、欧米諸国を含む国際社会を動員する対応を招いた。

国際有志連合による空爆

2014年8月、米国主導の有志連合がISISに対する空爆を開始した。ロシア、クルド人勢力、イラン、トルコも独自に介入し、現地の複雑な軍事状況を作り出した。

テロの国際化

ISISはソーシャルメディアを駆使した過激派戦闘員の勧誘と国際テロを実行した。2015年のパリ同時多発テロ、2016年のブリュッセル連続テロ、2017年のマンチェスターテロなど欧米諸国でのテロが相次ぎ、世界的な脅威として認識された。

ISISの現状はどうなっているか

ISISは2019年までに支配地域のほぼ全てを失ったが、依然としてテロ組織として各地で活動を継続している。

支配地域の喪失

2017年10月のラッカ陥落、2019年3月のバーグズー陥落により、ISISの領域支配は事実上終焉した。指導者のバグダディは2019年10月、米軍の作戦で殺害された。

残存勢力と世界的拡散

ISISは現在、イラク・シリアの辺境に残存するほか、アフリカ、南アジア、中央アジアに分派が活動している。2021年のアフガニスタン情勢変化やタリバン政権との関係で再び注目される存在となっている。

監修者 taisa68
最終更新日 2026-04-23