地域経済統合
地域経済統合にはどのような例があるのだろうか?
地域経済統合の必要性
WTO体制がめざす多角的交渉が行き詰まりをみせる
→特定の地域や国家間でやを結ぶ
:双方の市場経済を統合する
物品やサービスの貿易を自由化
FTAより包括的に投資や人の移動の自由化もめざす
日本
1990年代まで:WTO重視の姿勢
WTOでの多角的交渉(ラウンド)での進展が難しくなってきた
→2002年:
FTA/EPAも重要な経済交渉手段として位置づけるようになる
CPTPPや日EU・EPAを含め、20をこえる協定が結ばれている
2015年:経済連携協定(EPA)をウラン埋蔵量の多いと結ぶ
韓国や中国とも交渉予定であったが、二国間としては未締結
EPAを結んだ国々
シンガポール(2002年)、メキシコ(2005年)、マレーシア(2006年)
チリ、タイ(2007年)、インドネシア、ブルネイ、フィリピン、ASEAN(2008年)
スイス、ベトナム(2009年)、インド(2011年)、ペルー(2012年)
オーストラリア(2015年)、モンゴル(2016年)、EU(2019年)
アメリカ(2020年)、イギリス(2021年)
EPA締結の利点
相互の、の輸出先を確保、の輸入先を安定的に確保できる
安価なの輸入による国内のの低下
安価な外国人労働者によるなどが懸念される
2019年2月:
人口約6億人、世界のGDPの約3割、貿易額の約3割に相当する
世界最大級の自由な先進経済圏が生まれる
2020年:
二国間のにあたる
地域経済統合の例
ヨーロッパ
共通の貨幣ユーロの導入、人的往来の自由化など
北米
アメリカとカナダ、メキシコによる協定
南米
ブラジルやアルゼンチンなど6か国による協定
アジア太平洋地域
1994年にが出され、を決定
→2015年にが成立
を発足させる
1997~98年:の崩壊
欧米系のがASEAN株のを行い、利食いのための大量売却を行った
アフリカ
諸地域間
シンガポールやチリなど4か国で始まった
→アメリカや日本も交渉に加わる
2018年:アメリカが離脱し、として発効
物品市場アクセスやサービス貿易
投資や政府調達、環境、労働など広い範囲で自由化に向けたルールづくりが進められる
地域経済統合の危うさ~その時々で組みかえられる
アメリカのトランプ政権~「アメリカファースト」(自国第一主義)
二国間交渉を重視してNAFTAの見直し
→2018年:
2019年:日米貿易協定に合意
WTOの交渉と比べて柔軟な対応が可能
⇔域内差別を生み出し、ブロック化して国家間の摩擦となることも
FTA/EPAは協定ごとに合意されている内容が異なる
→企業の実務面ではそれぞれに合わせた煩雑な手続きが必要となる
既存のFTA/EPAをたばねる包括的なメガFTAと呼ばれる協定が求められる
e.g.
ASEAN+日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドで署名
EUの歩み
EUはどのように成立したのだろうか?
EUの歴史
1952年:発足
独仏国境付近の重要資源を6か国で共同管理
1958年:発足
を認める結成
1967年:に発展
加盟国は相互に関税を撤廃して域内に共通関税を設ける関税同盟を結ぶ
1970年代には加盟国を拡大しながら為替制度の共通化をめざした
→経済通貨同盟(EMU)に結実
1979年:
EC域内ではを基軸通貨とするを採用
域外通貨に対しては加盟各国通貨が同じ率で変動するを採用
1992年:域内のを完了
1993年:が発効
の発足
によって、外交・安全保障における共通政策の実施に向けて動き出す
1998年:ドイツのフランクフルトにを設立
1990年:の導入
→2002年に流通を開始
EUの課題
現在のEUが抱えている課題とはどのようなものなのだろうか?
各国別に運営される財政面の課題が表面化
2010年:の問題~「」
→ユーロの信認が揺らぐ
2011年以降、財政赤字と債務不履行がスペイン、ポルトガルやイタリアなどにも波及
ユーロ加盟時には経済状況について厳しい制限がある
→各国の主権とされる財政政策にEUがどこまで介入できるかという問題が残る
加盟国拡大による域内格差~2023年現在では27ヶ国が加盟
西欧・北欧諸国は南欧諸国への製品輸出が好調で、経常収支が黒字
⇔南欧諸国は経常収支の赤字が続き、製造業が停滞
中・東欧の低所得国から多くの労働者が西欧・北欧諸国に流入
雇用問題で摩擦
政治統合をめざす動き
2004年:の立法、行政、司法の権限やの新設を定めたが採択
⇔2005年にとの国民投票で批准が否決される
最終的にはを実現させてヨーロッパに巨大な連邦制国家を構築することをめざした
2007年:
大統領制の導入や外相級ポストの新設などを盛り込んだ「」の基本条約
反EUを掲げる政党がさまざまな国で得票率を伸ばす
cf.:2016年の国民投票でEUからの離脱を決める
離脱方法をめぐって国内外で意見の対立が続く
→2020年にEUから離脱
中国経済の動向と課題
中国経済はどのように発展し、どのような課題を抱えているのだろうか?
中国経済の動向
(1978年)
沿海部に設けられたを中心に外国資本を導入して雇用を増やして技術導入をはかる
→「」としての役割のほかに「」としての期待が高まる
加盟(2001年)
により中国製品への関税率が大幅に引き下げられ、経済成長のきっかけとなる
「」
ユーラシアの陸路と海上を経て欧州に至る地域のインフラ整備
金融的に支えるシルクロード資金やも発足
国際的には「」がめざされた
中国経済の課題
富裕層と貧困層の所得格差はきわめて大きい
→低所得層の不満は治安悪化につながっている
危機的な環境汚染
e.g.都市部の大気汚染
資源の大量消費
都市部を中心に急速な少子化が進む
2016年:「」の廃止
労働力人口が減少しはじめている
沿海部では賃金が急上昇
民主化の課題を後回しにしている
成長率が低下して失業率が高まることで政治的不安が急上昇することも懸念される
香港に対するの採用
2020年:香港国家安全維持法を施行して一体化への圧力を高めている
新興国の台頭
新興国はどのように台頭してきたのだろうか?
:、、、、
2000年代に入ると、豊富な人口と資源をもつ経済大国として注目される
高い経済成長力から新興市場としても期待される
国内の資源も豊富で、鉄鉱石や原油の輸出額も大きい
2016年:
インフラ整備や国内市場拡大が進む
⇔地域間格差や都市スラムの拡大、アマゾンの熱帯雨林消失などの課題がある
天然ガスなどの資源輸出を経済発展の基本戦略としている
→経済成長は資源価格の動向に左右されやすい
1994年の以後、金やダイヤモンド、などの輸出で成長
⇔黒人の約8割は貧困・低所得状態に置かれたまま
失業率も高く、インフラ整備の遅れなど多くの課題がある
2014年以降、改革路線をとっている
「」:工業製品の関税率を引き上げるなど
必ずしも成果を上げていないという批判もある
2000年代に入ると急激な経済成長を遂げる
1980年代に、、、が経済成長を遂げる
1990年代に経済成長を遂げる
国際経済の新たな対立
現代の国際経済において生じている摩擦とは、どのようなものなのだろうか?
ハイテク(先端)産業は先進国が担い、在来型の産業を途上国が担うという分業体制は古い
e.g.中国政府
構造改革を進め、電気自動車などの新世代の産業や通信機器産業などを促進
電子商取引が拡大し、それにあわせてモバイル決済も急速に発展
→得られたを経済成長に活かす
特許の出願件数でも中国やインドが急速に伸びている
新しい技術の覇権をめぐって
米中の対立
関税障壁や非関税障壁を互いに設ける
ウクライナへの軍事侵攻をめぐって
ロシアとアメリカやEU諸国との対立
世界的なエネルギーや食料の価格高騰の一因となる
地域経済統合の行く末
域内の貿易、投資、労働力の移動をする
域外取引を事実上制限し、する可能性もある
地域経済統合のレベル
①
域内関税の撤廃
②
域内関税の撤廃
域外共通関税の設定
③
域内のヒト、モノ、カネ、サービスの自由化
④
通貨統合
中央銀行の一本化
⑤
共通の金融、財政、経済政策の実施