第2章 人間としてよく生きる

11_他者の尊重

資料集

他者の尊重

人間はどのようにして、自身の主体性から他者を重視するようになったのだろうか?

他者の重視

 近代化の中における矛盾や問題点に目を向ける動きがさかんに

 

  急速に発達した近代文明の矛盾を批判

  ファシズムや管理社会がなぜ出現したのかを、大衆心理学や社会学の面から考察

  近代的な理性は、自然を客体化し、技術的に支配することを可能にする能力である

   手段的・なものであると考えた

   近代のは人間が自然を支配するためのとなった

    「」が作り出した科学技術や社会体制はかえって人間を支配するようになった

     cf.:既存の社会を支配する思想的な枠組みを批判・吟味

  

   主著『』~との共著

    人類の歴史は啓蒙の歩みと野蛮への後退を繰り返す的な過程である

    結果的に近代化の中ののような抑圧的な支配体制を正当化してしまった

  

   現代人の社会的性格を「」と呼ぶ

    自己責任を避けることで責任を回避し、権威に盲従しがちである



 現代になると、人間の主体性を疑問視して他者を重視する思想があらわれた

 (フランス)

  未開社会の研究を通じて、を批判した

  主著『

  

   人間の思考や行動は普遍的なによって決定されており、人間は自由な主体ではない

    未開社会の人々は、動物や植物などの身近なものを用いて世界について考える

     =

      構造によって決定されているという点で、文明社会の科学的な思考と同じである

       そこに優劣の差はないとした

  

   いかなる文化も他の文化の道徳的・知的価値を批判できる基準を持たない

   自民族を中心として考えるを克服すべきである

    →多元的文化の共存が可能となり、多様な価値観を認めるの可能性

 

  西洋人による「」に対する異国趣味は、非西洋社会に対する無知や誤解に根ざした

  そこで見られるような西洋中心の的な思考様式を批判

   この考えはと呼ばれる



 (フランス)

  近代社会について考察し、を批判した

   を根拠として、犯罪やといった理性に反するものを異質なものとして隔離してきた

    学校などを通じて、社会の規律に無意識に従う人間を作り上げる

    規律から外れた人間を異質な物として排除してきた

  近代のは訓練された従順な存在に過ぎず、互いを監視することで社会のを支えている

   cf.:最も効率よく、監視していることすらわからない形で監視する

  近代のとは社会構造・言語構造などによって無意識に作られた妄想である

   それを断ち切ることが必要であり、近代の人間中心のを批判した

 (フランス)

  主著『全体性と無限』『存在の彼方へ』

  自己を中心とする近代の倫理にかえて、を中心とする倫理を唱える

  人間をあらゆるものを自分と同じものとして理解しようとする

   その視点において、どうしても理解できないものが存在する

    →他者は自己の理解をこえた、他なるもの()であり、自己に対してとして現れる

  他者に対する無限のを果たすことが、人間の倫理的な生き方である

   とは他者の否認であるとした



公共性の確立

人間は市民として、公共圏をどのように確立すべきなのだろうか?

 現代では共同体を構築し、を確立することをめざす思想が唱えられた

 (ドイツ)

  公共性の歴史をたどり、現代における公共性のあり方を示した

  近代では、人間が対等な立場で議論するが生まれた

   ⇔国家による人間の管理が強まるにつれて、市民的公共性は次第に失われた

    政治制度や経済制度が人間の日常生活を支配するようになった

     =

  人間には、対話によって合意を形成するがある

   人間は、対等な立場で自由に討議して合意にいたる

    =

     それによって公共性を確立し、日常生活を守ることができる

     社会の全員が合意できる社会のルールを発見できると考えた

   社会規範は多数決ではなく社会の構成員による十分なを経たの上に築かれる

 (ドイツ)

  主著『

  人間の生活について考え、公共性の復権を唱えた

   生存のために必要な、道具や作品を作る、他者とともに共同体を営むがある

   活動は、人間が言葉をかわして公共性を築くことであり、人間にとって本質的なものである

     古代では活動が労働や仕事よりも重んじられていた

      ⇔近代になると、労働や仕事が活動よりも重んじられ、公共性が失われた

       →を重んじることで、公共性を確立しなければならない

  帰属意識を失い不安を抱えた大衆が、個人よりも全体を優先する思想に惹かれていく

   →の起源を見出した

  古代ギリシアのポリスでは市民が対等な立場で政治や哲学について語り合う空間

   =

    すべての市民に開かれた公共の場でコミュニケーションをとる