第2章 人間としてよく生きる

10_主体性の確立

資料集

主体性の確立

実存主義はどのように人間を主体性へ向かわせたのだろうか?

主体性の追求―実存主義―

 社会の進展は人々から主体性を奪っていった

 

  :「現実の存在」であり、個別的な存在

   人間の個別性を重視することで、主体性を追求する立場

  現代文明の中で起きる人間性の危機()を、人間の内面の問題として捉える

   →を回復しようとする思想

  (デンマーク)

   自分自身が一度限りの人生をいかに主体的に生きるかを問うを追究

   主著『死に至る病』

   人間を創ったのは神であるが、人間は神から離れて自分を失う(

    絶望は自己喪失という「死に至る病」である

   そうした絶望を経て、人間は神にたどり着き、として神の前に立つ

   実存には3つの段階がある

    ①

     快楽を「あれも、これも」求めるが、自分を見失って絶望する

    ②

     良心に従って「あれか、これか」を決断し、義務を果たそうとする

      自分の無力に気づき、絶望する

    ③

     神の前に立ち、信仰によって生きようとして、絶望から解放される

  (ドイツ)

   伝統的な価値が失われた時代における人間の生き方を探求

   主著『

   人々は、最高の価値が失われ()、道徳も失われた(

    →人々は人生の意味も目的も失われ、の時代に生きている

    cf.「」:ヨーロッパの退廃の原因をに求めた

    弱者が強者に対してもつ怨念()によるキリスト教の禁欲的な道徳

    →人間の生への意志を抑圧してきた

   そうした時代で理想とされるのはである

    :自己を乗りこえ、成長しようとする生命力

    力への意志にもとづいて価値を創造

    意味も目的もなく無限に反復するの世界

     →自分の運命を受け入れ、主体的に生きる(



  (ドイツ)

   人間の限界をもとに、実存としての生き方を考えた

   人間は(死・苦しみ・争い・罪など)において、自己の有限性に気づく

    同時に、有限な自己を支えるにも気づく

     →自己が包括者からの賜物であることを自覚する

      互いを実存として承認する()ことで、本来の自己になる

  (ドイツ)

   人間という存在の独自性から、本来の自己のあり方を唱えた

   主著『

   人間は、自分が存在することを理解し、その存在を問うである

    世界に投げ込まれ、世界に規定されたである

    を避けられないである

   人間は、世界に埋没し、誰でもないとして生きようとした

    死と向き合い、自己の個別性を自覚することで、本来の自己に立ち返る

  (フランス)

   主著『存在と無』

   人間のあり方を考えることで、自由の意味を探った

   人間はまず現実に存在し、そのうえで自己のあり方を自由に選択する

    「

   人間はまったくであるが、裏を返せば、自由から逃れられない

    「

   自己の自由な選択は社会に影響を与える

    自由を生きることは、社会に参加()し、社会に責任を負うことである

  (フランス)

   小説『ペスト』が有名

   人間がな運命と闘いながら連帯し、人間として最後まで誠実に生きることの尊さを表現

 

  第一次世界大戦後、繁栄を迎えたアメリカで発展した哲学

  

   を人間が環境に適応し生きていくためのであると位置づけた

    =

   個人と社会が調和し、多様な価値観が認められる社会が実現することを理想とした

    が既成の価値観の単なる伝達となることを批判

   『

    民主主義における教育の役割を強調

     人間の改良を追究するという教育改革思想の重要性を主張

     民主主義は人々の共有する問題の解決を目標とした連帯であり共同経験である