第9章 国際政治の動向と課題

トランプ

トランプ

トランプとは何か

トランプは、2017年から2021年まで第45代アメリカ合衆国大統領を務めた共和党の政治家で、不動産業者としての経歴を持つ人物である。アメリカ第一主義を掲げて既存の国際秩序を見直し、冷戦後のリベラル国際秩序に衝撃を与えた大統領として知られる。

経歴の概要

ドナルド・トランプはニューヨーク出身で、不動産業とテレビ番組で知名度を築いた。政治経験を持たないまま2016年大統領選でヒラリー・クリントンを破り、2017年1月に大統領に就任した。

アメリカ第一主義

国際協調よりも国益を優先するアメリカ第一主義(America First)を基本理念とし、貿易、移民、安全保障の各領域で従来の多国間主義から二国間取引重視へと外交姿勢を転換した。

トランプ政権は冷戦後の国際秩序をどう変えたか

トランプ政権は多国間協調を疑問視し、既存の国際条約や枠組みから次々と離脱した。冷戦期に構築された米国主導の国際秩序の継続性を問い直す動きとなった。

国際協定からの離脱

パリ協定、イラン核合意、WHO、UNESCO、人権理事会、TPPなど多くの国際枠組みから離脱した。INF全廃条約からも2019年に離脱し、ロシアの違反を理由に冷戦期の重要な核軍縮条約を終わらせた。

NATO同盟国への批判

NATOを「時代遅れ」と批判し、欧州同盟国に国防費の増額を強く要求した。冷戦期以来の米国の同盟政策に疑問を投げかけ、同盟国との信頼関係に動揺を与えた。

トランプ外交はどのような特徴を持ったか

トランプ外交は既存の外交慣行を無視した直接取引型の交渉スタイルを特徴とし、首脳同士の個人的関係を重視した。一方で制度的枠組みを軽視する姿勢が国際社会に不確実性をもたらした。

対中強硬路線

中国との貿易戦争を開始し、大規模な関税引き上げを実施した。技術覇権、知的財産、南シナ海問題など多方面で対中強硬姿勢を打ち出し、米中対立を「新冷戦」と呼ぶ議論を呼び起こした。

対北朝鮮と対ロシア

金正恩と史上初の米朝首脳会談を開いた一方で、具体的成果は乏しかった。プーチンとの個人的関係を重視したが、制裁は継続された。既存の秩序と個別的取引が混在する外交となった。

トランプ政権は何を遺したか

トランプ政権は冷戦後の米国主導の国際秩序への信認を揺るがし、2021年の政権移行後も影響が残った。2024年の大統領選で再び当選し、2025年1月に第47代大統領として復帰した点も含め、国際政治への長期的影響は続いている。

国際秩序への長期的影響

米国の多国間主義への信頼は相対化され、欧州や日本などの同盟国は戦略的自律性の必要性を再考するようになった。冷戦期以来の秩序の前提が問われる局面が続いている。

米国政治の分断

トランプは米国政治の分極化を象徴する存在となり、共和党の政治文化を大きく変えた。大統領再就任後の外交政策は同盟国と対立国の双方にとって予測困難で、国際政治の不確実性を高めている。

監修者 taisa68
最終更新日 2026-04-23