難民問題
難民問題とは何か
難民問題とは、紛争・迫害・人権侵害などを原因として自国を離れる人々をめぐる国際的な課題である。冷戦終結後の世界で、難民・避難民は急増し、国連や各国政府の主要課題となっている。
難民の定義
1951年の難民条約と1967年の議定書は、難民を人種、宗教、国籍、政治的意見、特定の社会集団所属を理由に迫害を受ける恐れがあり国外に避難した者と定義する。これは国際法上の公式定義として広く用いられている。
国内避難民との違い
国内避難民(IDP)は自国内で避難する人々であり、国境を越えた難民とは法的に区別される。しかし保護の必要性は変わらず、UNHCRなどの国際機関は両者への対応を行っている。
冷戦後の難民問題はどう拡大したか
冷戦後、民族紛争・内戦・気候変動による避難が増え、世界の難民・避難民数は急増した。
ヨーロッパ難民危機
2015年、シリア内戦の長期化などにより中東・北アフリカから欧州への難民が急増し、100万人以上がEUに流入した。ドイツのメルケル首相による受入れ政策は国際的注目を集めた。
ウクライナ戦争による避難
2022年のロシアによるウクライナ侵攻後、800万人以上がウクライナ国外に避難し、第二次世界大戦後のヨーロッパ最大の難民流出となった。EU諸国は一時保護指令を発動して大規模な受入れを行った。
国際社会は難民問題にどう取り組んでいるか
難民問題への対応は国連と各国政府の共同作業として行われている。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
UNHCRは1950年に設立され、難民の保護・支援・帰還・再定住を世界規模で担う国連機関である。1954年と1981年にノーベル平和賞を受賞しており、国連難民保護の中核である。
難民グローバルコンパクト
2018年に国連総会で採択された難民に関するグローバル・コンパクトは、受入れ国への支援、難民の自立、解決策の拡充を柱とする。国際的な責任分担の必要性を再確認した文書である。
難民問題は現代の国際政治にどう関わるか
難民問題は、安全保障・経済・人道支援・人権の各分野と密接に結びついている。
受入れをめぐる政治的対立
難民受入れは各国の国内政治にも直接影響し、ポピュリズム政党の台頭や欧州統合の揺らぎに関わる論点となっている。欧州各国は受入れ政策で協調と対立を繰り返している。
日本の難民受入れの現状
日本は難民条約に加盟しているが、認定率は国際的に極めて低水準にある。2022年のウクライナからの避難民の大規模受入れは例外的な対応で、難民政策そのものの見直しが継続的な課題となっている。