包括的核実験禁止条約(CTBT)
包括的核実験禁止条約とは何か
包括的核実験禁止条約(CTBT)は、1996年9月10日の国連総会で採択された、あらゆる核実験を禁止する国際条約である。冷戦終結後の核軍縮の到達点の一つとされる。
条約の内容
CTBTは大気圏内、水中、地下、宇宙空間でのすべての核兵器実験とその他の核爆発を禁止する。1963年の部分的核実験停止条約(PTBT)が地下核実験を除外していたのに対し、CTBTはすべての核爆発を対象とする点で画期的である。
加盟状況
現在までに180以上の国が署名し、170以上の国が批准している。しかし条約発効の要件である発効要件国44か国のうち、米国、中国、インド、パキスタン、北朝鮮など主要核保有候補国を含む8か国が未批准のため、条約は現在まで未発効である。
CTBTはどのような仕組みを備えているか
CTBTは単なる禁止条約ではなく、世界規模の監視ネットワークと査察制度を備えた精緻な検証体系を持つ。
国際監視制度(IMS)
世界337か所に地震、音波、放射性核種、微気圧振動を検知する観測所を配置するIMSが整備されている。これにより地下核実験を含む全地球的な監視が可能となっている。
現地査察制度
疑わしい実験が発生した場合、加盟国の要請に基づいて現地査察が行われる仕組みがある。CTBT機関準備委員会(CTBTO)がウィーンに置かれ、査察体制の整備と訓練を進めている。
CTBTはどのような背景で採択されたか
CTBTは、冷戦終結後の核軍縮の勢いと、核実験全面禁止を求める長年の国際世論が結実した合意である。
冷戦後の核軍縮の流れ
1990年代初頭、米英仏ロが相次いで核実験の一方的な停止を表明し、国際的な機運が高まった。1994年から始まった交渉は、1996年に採択に至った。
核保有国の思惑
核保有国は既に十分な実験データを蓄積したうえで、新たな核拡散を防ぐ狙いからCTBTに合意した。しかし条約発効には核保有国全ての批准が必要なため、各国の戦略事情が未発効の要因となっている。
CTBTは現代核軍縮にどう位置づけられるか
CTBTは未発効ながら、核実験を事実上禁止する国際規範として機能している。核軍縮の制度化の到達点として重要な位置を占める。
未発効問題と臨界前核実験
CTBTが禁止するのは核爆発を伴う実験であり、核爆発を伴わない臨界前核実験は条約の対象外とされる。このため米ロは臨界前核実験を継続しており、CTBTの実効性の限界として論じられる。
日本の立場
日本は1996年に署名、1997年に批准し、CTBT発効の実現を外交目標として掲げている。IMSの観測所の一部は日本国内にあり、アジア太平洋地域の核実験監視に協力している。