第9章 国際政治の動向と課題

ラッセル・アインシュタイン宣言

ラッセル・アインシュタイン宣言

ラッセル・アインシュタイン宣言とはどのような声明か

ラッセル・アインシュタイン宣言は、1955年7月9日にイギリスの哲学者バートランド・ラッセルとドイツ生まれのアメリカの物理学者アルバート・アインシュタインが連名で起草・発表した声明文である。アインシュタインは署名から数か月後の同年4月に死去したため、実際の発表はラッセルが行った。声明には11名の著名な科学者が署名しており、日本の湯川秀樹もその一人である。この宣言を出発点として、1957年にパグウォッシュ会議が始まった。

宣言は何を訴えたか

宣言は冷戦下の核軍拡競争に対し、科学者の立場から強い警告を発した。主な訴えは以下の通りである。核戦争が行われた場合、水素爆弾の使用により大都市だけでなく広大な地域が汚染され、人類の大量死滅に至るおそれがある。「核戦争によって達成できる国家目的などない」。国家は自国の目的追求のために核戦争という手段に訴えてはならない。国際紛争は平和的手段によって解決されなければならない。各国政府に向けて、「われわれは一人の人間として、ここに諸国家の政府に訴える。あなた方の目的は戦争によって促進されるか?」と問いかけた。

宣言の歴史的背景と影響

宣言が発表された1955年は、1954年の第五福竜丸事件によって核実験への恐怖が世界的に高まっていた時期である。同年には広島で第1回原水爆禁止世界大会も開催されており、核に対する市民的関心が頂点に達していた。宣言は科学者という「知的権威」が政治を超えて核廃絶を訴えたことで、国際社会に大きな反響をもたらした。1957年のパグウォッシュ会議発足へとつながり、東西冷戦の壁を越えた科学者間の対話の場を生み出した。ラッセルは1958年に核軍縮キャンペーン(CND)の設立にも関与し、市民社会と知識人が連携した核廃絶運動のモデルを示した。

監修者 taisa68
最終更新日 2026-04-24